【 泡沫〜うたかた〜 】



















ただ…ほんの些細な幸せだけでいいんだ…












こうしてこの国の王子様とお姫様は2人で幸せに暮らしましたとさ。


おしまい♪
なっ、ええ話やろ?鳴海先生」















夕暮れ時の静かな教室で蜜柑の声が響いた。













「うちこのお話大好きなんよ〜。
 せやから鳴海先生に聞かせてあげたかったん。」





「ありがとう蜜柑ちゃん。素敵なお話だね。」







ナルがそういうと目の前の蜜柑は嬉しそうに微笑んだ。











自分の後ろから「あの頃」と変わらない残酷な色が背中を照らしていた。







そのおかげで僕がどんな顔をしていたかなんて見えなかっただろう…。















「じゃあうちはもう帰ります。さよなら!!」














蜜柑が教室を去り、広い教室にポツンと独りきりになった。







もたれかかった椅子の軋む音が寂しく響き渡った。













「ほんの些細な幸せだけでいい…か…。」














その言葉を自分に言い聞かせるかのように呟いた。















「嫌われものの私だけど…でも私は先生さえいてくれるならそれ以上の幸せはないよ。

     温かい家庭が持てたらさらに幸せだな…」













たったそれだけのことしか望んでいないのに……運命というのは残酷で………



いとも簡単に2人を引き裂いてしまった。

















もしも2人のこれからの『物語』が壊されなければ.......


          きっとその『物語』の終わりには幸せが待っていたのだろう。



















大切な人だから…誰よりも信頼できる先輩だったから……                        あなたの幸せを望んでいたのに…。























そう.......あなたたちはまるで泡沫のように…僕の前から消えていったんだ。


















+END+




初のナル独白です。
柚香さんに対する切ない想いがテーマですが・・・・うまく伝わっているか不安です。
感想などいただければ嬉しいです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。