冷たい風の声が聞こえてきたらもうすぐ冬の始まり…
一年に一度のクリスマス
あなたは誰と過ごしますか?
【 beginning 】
「よーし!!B組みんなでクリスマス会をしよう♪」
2学期が無事終わりナルがふと思いついたように提案した。
学園の行事にもクリスマスのパーティーはあったが
アリスの能力によってはパーティー当日もひっぱりだこで
ゆっくりしていられなかった生徒がいたのを考慮してのことだろう。
それに楽しいことは何回あったって嬉しいのはみんな一緒。
B組の生徒たちはナルの話を『珍しく』聞いていた。
「お菓子を用意して皆で楽しく遊びましょう!
あっ…ちなみにクラス全員強制参加だから♡」
一瞬、教室から出て行こうとしていた棗とルカに視線が集まり
ひんやりとした空気が流れたが
すぐにクラス中は楽しい雰囲気になっていった。
教室の中を飾り付け机をどかせて椅子を丸く並べた。
「はい、みんな座ってー!」
「蛍ー!!一緒に座っていい?」
「私が良いも悪いも言う前にちゃっかり座ってるじゃない…」
そういう蛍は椅子に座りカニを食べていた。
「はいは〜い!!みんな注目〜!!
みんなのために素敵なプレゼントを持ってきました!!」
ナルはティッシュ箱を自慢気に持ってきた。
「この箱の中にはB組全員分の名前が書かれた紙が入ってます!
この中からくじで僕が2人を指名するので指名された人たちは
今から北の森へ行って宝物を探して来てください!
その際、必ず2人は手を繋いで行くこと♡」
「何でわざわざそんなことするんだよー」
とブーイングの嵐が起こった。
「何故って!?手を繋ぐ…すなわちそれは愛!!
それは愛のために決まってるじゃないか」
そういうとナルは2枚の紙を取り出して読み上げた。
「えーっと…佐倉蜜柑ちゃんと……日向棗くんです!」
「えぇ!?うちー!?」
「…何のつもりだよ。ふざけんじゃねぇよ」
蜜柑も棗もまさか自分が選ばれるとは思っていたようだ。
無理もない。
「棗くん…僕に逆らっていいのかなー?」
意味ありげに笑うナルの手には写真が握られていて
それを棗だけにチラッと見せた。
「…チッ…行くぞ馬鹿」
「棗!?ちょっと待って…うちまだお菓子食べてな…」
まだお菓子を食べている蜜柑を置いて棗は行ってしまった。
「ほら…蜜柑ちゃんも早く行って!
これが宝物の場所の地図だから!」
なんとなく嫌そうに蜜柑はナルから地図を受け取った。
「う〜行きたくないなぁ」
「さっさと行け!!」
痺れを切らした蛍は蜜柑を教室から蹴り出した。
「なんでうちが棗とこんなことせなあかんねん!!」
棗と手を繋いで北の森へ向かう蜜柑は不満そうだった。
確かにいままで暖かい部屋でお菓子を食べていたはずが
外へ出されれば不満もつのるであろう…
「俺だってブスと手なんか繋ぎたくねーよ」
「なんやとこのイヤミキツネ!!
そういえば鳴海先生の持ってたあの写真…何の写真なん?」
喧嘩しながらも繋いだ手は離せないのが何だか虚しい。
しかし棗がナルの言うことを聞くなんてことは滅多にないとなると
あの写真にはどれほどの効果があるのかは言うまでもない。
「……さっさと行くぞ。」
棗は蜜柑から地図を奪いどんどんと進んで行った。
「「……………。」」
『宝物を探す』と言われれば探すのに
多少の困難を覚悟すると思うが
宝物はあっさり見つかった…というより見つけられないはずがない。
北の森の入り口にわざとらしく大きな箱が置いてありその側には
『宝物』という看板が立っていた。
「何のつもりなんやろ…?これなら別に地図いらへんわ…」
「馬鹿らし…罠じゃねーのか?」
お互い複雑な想いを抱えながらも宝箱を開けた。
中には1枚の紙が入っていた。
『今手を繋いでる人が宝物です♡
お互い素直になりましょー
鳴海せんせーより』
「何やこれ…
鳴海先生からの言葉のプレゼントってことやったんか!!」
ナルの意図がようやくわかりほっとした蜜柑は笑顔をこぼした。
「……。」
棗はポケットから小さな包みを取り出し蜜柑に渡した。
「ふぇ?何これ?」
「……いらないなら返せ。」
「いる!!くれるの!?ありがと棗!!
ひょっとしてクリスマスプレゼント??」
蜜柑が丁寧に包みを開けると中から花のモチーフに
キラキラとした石が付いたネックレスが入っていた。
「わ〜可愛い!!ありがと棗。大事にするな。
でも…うち棗にクリスマスプレゼント用意してへん。
だからこれで今回は我慢してな?」
そういうと蜜柑は棗の頬にキスをした。
蜜柑は耳まで真っ赤に染まっていた。
「へへ…メリークリスマス」
この手を離したくない。。
クリスマス会が終わった後
教室の片付けをしていたナルのもとへ蛍がやってきた。
「ナル、あの箱の中には最初っから
蜜柑と日向くん2人の紙しか入ってなかったでしょ。
どういうつもりよ」
「うっ…わかってたんだ…。
棗くんが蜜柑ちゃんにプレゼントを渡せる機会を
作ってあげようと思って。棗くん素直じゃないからね。」
ナルは困ったように笑った。
「それにほら…棗くんはこんなに
一生懸命プレゼント選んでたんだよ。」
ナルはポケットからさっき棗にだけ見せた写真を取り出した。
写真はナルによって撮られたもので
棗がアクセサリーショップで真剣に選ぶ姿が写されていた。
「偶然セントラルタウンで見掛けてさ…
協力してあげたいなって思っ…」
「口止め料!!」
「え?」
「だからく・ち・ど・め・りょ・う!!」
目が¥になった蛍は手をナルの方に差し出して
とびっきりの笑顔で微笑んだ。
ナルへの最高のクリスマスプレゼントになったことだろう…。
年に1度のクリスマス…あなたも素直になってみませんか?
+END+
久々の短編小説です;
蜜柑の大胆な行動もたまにはいいですよね?
感想などいただければ嬉しいです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。